常勤役員等や営業所技術者等が辞めるとき・亡くなったとき

許可を支えている「人」がいなくなると、許可そのものが続かなくなることがあります。届出の期限と、辞める前にしておきたいことを大阪府知事許可を前提にまとめます。

まず知っておきたいこと:1日でも空白があると許可は失効

建設業許可は、次の2種類の人がいることを前提に出ています。

  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者):建設業の経営の経験がある常勤の役員など(ロの型で許可を受けている場合は、それを直接に補佐する者も含みます)
  • 営業所技術者等(旧:専任技術者):営業所ごとに置く、資格や実務経験のある技術者

この人たちが常勤・専任でいることは、許可を受けた後も満たし続けなければならない基本の要件です。大阪府の手引き(FAQ)は、代わるべき者がおらず1日でも空白期間が生じた場合には、許可が失効すると注意を促しています。建設業法でも、許可の基準を満たさなくなった建設業者の許可は取り消さなければならない、とされています(建設業法29条1項1号)。

「前の人が辞めた翌日に次の人が就任」でも空白になる

退任・退職の日と、後任の就任・入社の日の間が1日でも空けば空白です。退任日と就任日を同じ日にそろえる、後任を先に置いておく、といった段取りが必要です。

届出の期限は14日以内

後任がいる場合は、交代した日(事実が発生した日)から14日以内に大阪府へ変更届を出します。建設業法と施行規則では「2週間以内」と定められています(建設業法11条4項、建設業法施行規則7条の2)。

こんなとき期限主な書類(大阪府の手引き)
常勤役員等が交代した14日以内変更届出書、常勤役員等証明書(様式第7号)と略歴書、後任が新しく役員になった場合は誓約書・登記されていないことの証明書・市町村長の証明書など。あわせて後任の経験と常勤性の確認書類
営業所技術者等が交代した14日以内変更届出書、営業所技術者等一覧表、営業所技術者等証明書(様式第8号)、資格証・実務経験証明書など。あわせて後任の常勤性の確認書類
常勤役員等・営業所技術者等が氏名を変えた14日以内変更届出書と証明書、戸籍抄本・住民票など変更がわかるもの
取締役の就任・退任そのもの30日以内役員等の変更の届出(常勤役員等の交代とは別の届出)

常勤役員等だった取締役が退任し、別の取締役が後任になる場合は、「常勤役員等の変更(14日)」と「役員の変更(30日)」の両方が関係します。期限の短い14日にあわせて準備すると安全です。取締役の就任・退任の登記は司法書士の業務です。

※変更届は、窓口のほか郵送(一般書留・簡易書留)や会場の投函ボックスでも出せます。常勤役員等や営業所技術者等の交代では、常勤性や経験を確認する書類の写しが必要です。

代わりの人がいないとき

後任が見つからないまま辞めてしまった場合は、許可の基準を満たさなくなったことを2週間以内に届け出る必要があります(建設業法11条5項)。大阪府の手引きでは、この場合は変更届出書に加えて「届出書(様式第22号の3)」と「廃業届(様式第22号の4)」を出す扱いです。

  • ある業種だけ担当できる営業所技術者等がいなくなった → その業種を一部廃業
  • 常勤役員等がいなくなった、または全業種の技術者がいなくなった → 全部廃業

いったん許可を失うと、同じ許可を取り直すには新規申請になります。要件を満たす人がそろってからの申請になるので、元請との取引や公共工事の受注に影響が出ることがあります。届出をしないまま営業を続けることは避けてください。建設業法には、この届出をしなかったときの罰則もあります(建設業法50条)。

亡くなったとき

会社(法人)の常勤役員等・営業所技術者等が亡くなった場合

会社の許可は会社のものなので、会社としては退職のときと同じ考え方です。ただし、14日以内というのは届出の期限であって、要件を欠いてよい期間ではありません。亡くなった時点で要件を満たす人がほかにいなければ、あとから後任を置いてもその空白は埋まりません。後任を置いたら14日以内に変更届を出します。後任がいなければ、上の「代わりの人がいないとき」の手続きになります。急な事態で空白が生じやすいので、日ごろから後任になれる人を把握しておくことが大切です。

個人事業主本人が亡くなった場合

個人の許可は、原則としてその人のものです。相続人がそのまま事業を続けても、許可が自動で引き継がれるわけではありません。

  • 事業をやめる場合:相続人が30日以内に廃業届を出します(建設業法12条1号)。大阪府の手引きでは、確認書類として戸籍抄本が必要とされています。
  • 相続人が事業を続けたい場合:相続人が、被相続人の死亡後30日以内に申請して認可を受ければ、建設業者の地位を引き継げる制度があります(建設業法17条の3)。期限内に認可を申請すれば、亡くなった日から認可・不認可の通知を受ける日までは、亡くなった方の許可が相続人に対してされたものとみなされます(同条2項)。ただし、相続人の側で常勤役員等や営業所技術者等の要件を満たしている必要があります。期限が短いので、すぐに大阪府へ相談してください。

※相続の登記は司法書士の業務、相続税は税理士の業務です。

辞める前にしておくこと

退職や退任が決まった段階で、次の順番で準備すると空白を防ぎやすくなります。

  1. その人が何を担っているかを確かめる:常勤役員等なのか、営業所技術者等なのか、両方なのか。技術者なら、どの業種を担当しているか。許可申請書や変更届の副本で確認できます。
  2. 後任の候補を決め、要件を満たすか確かめる:資格、経験年数、常勤できるか(次の章)。
  3. 証明書類を集め始める:経験の証明には、過去の確定申告書や工事の契約書・請求書、前の勤め先の証明などが要ることがあり、時間がかかります。
  4. 交代の日を決める:退任日と就任日を同じ日にそろえる。役員の就任が必要なら、登記の段取りもあわせて。
  5. 14日以内に変更届を出す:常勤性の確認書類は、雇ったばかり・役員になったばかりの人にも用意の仕方があります(賃金台帳や雇用契約書、住民税の特別徴収への切替申請書など)。

辞める人の協力が必要なこともあります

後任ではなく、辞める人本人の経験が別の会社で必要になる場合(たとえば独立して自分で許可を取る場合)、今の会社が経験の証明者になります。円満に引き継ぎができるよう、退職前に話し合っておくと双方にとって手続きが進めやすくなります。

後任の要件の確認

常勤役員等の後任

後任にも、施行規則7条1号のイ・ロいずれかの経験が必要です。イの型なら、建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験(取締役・個人事業主などとして)が基本です。ロの型に切り替える場合、大阪府は事前の相談を求めています。詳しくは常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件をご覧ください。

営業所技術者等の後任

後任は、辞める人が担当していた業種すべてについて、資格か実務経験の要件を満たしている必要があります。1人で複数の業種を担当していた人の後任が、一部の業種しかカバーできないことがあります。その場合、カバーできない業種は一部廃業になります。資格の種類によって担当できる業種が違うので、資格証の区分まで確認します。詳しくは営業所技術者等の解説をご覧ください。

共通して見られること

  • その営業所に常勤できること(遠距離通勤、他社の常勤役員、専任の宅地建物取引士などとの兼務は原則として認められません)
  • 欠格要件(建設業法8条)に当たらないこと(新しく役員になる場合)

※兵庫県・和歌山県・奈良県の許可では、書類の扱いが大阪府と違うことがあります。各県の手引きで確認します。

ARIA行政書士事務所にご相談いただく場合

当事務所では、許可申請書や変更届の副本を拝見して、辞める人が担っている役割を確認し、後任候補が要件を満たせるか、どの書類で証明できるかを整理します。交代の日取りの組み方と、14日以内の変更届の作成・提出を行います。後任が見つからない場合に一部廃業で済むのか、全部廃業になるのかの見通しもお伝えします。

変更届全般については変更届のページ、許可後の期限の一覧は建設業許可をとった後の期限一覧をご覧ください。ご相談はお問い合わせから、費用は料金のページでご確認いただけます。

行政書士 川端祐也

この記事を書いた人:行政書士 川端 祐也
ARIA行政書士事務所 代表。大阪府行政書士会所属(登録番号 第23262007号)。司法書士・宅地建物取引士の資格も持っています(登記などの司法書士業務は、別の法人である司法書士法人ARIAグループが別の契約で取り扱います)。

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