建設業許可には、営業所ごとに技術の責任者(営業所技術者等)が必要です。国家資格がなくても、経験や学歴でこの要件を満たす道があります。ただし、経験は書類で証明しなければなりません。
資格がなくても、営業所技術者等になれる道があります
建設業許可を受けるには、営業所ごとに「営業所技術者等」(令和6年12月13日の改正前の呼び名は専任技術者〈旧称〉)を専任で置く必要があります。名前の変更については営業所技術者の解説をご覧ください。
一般建設業の営業所技術者になれるのは、許可を受けたい業種について、主に次のどれかに当たる人です(建設業法第7条第2号、施行規則第7条の3、大阪府の手引き)。
| ルート | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 国家資格など(施工管理技士、建築士、技能士など) | 資格によって不要、または一定年数 |
| 大学・短大・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 専修学校(専門課程)の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上(専門士・高度専門士の称号があれば3年以上) |
| 技術検定の第一次検定に合格(対象外の業種あり) | 1級は合格後3年以上、2級は合格後5年以上 |
| 学歴・資格を問わない | 10年以上 |
資格がない方は、表の下の5つのルートのどれかで考えることになります。
資格がないと難しい場合
特定建設業のうち、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)は、特定営業所技術者に原則として1級の国家資格などが必要です(建設業法第15条第2号ただし書、施行令第5条の2)。経験だけでこれらの業種の特定建設業の許可を受けることは、原則としてできません。この記事は一般建設業を前提に説明します。
なお、営業所技術者等とは別に、経営の経験を持つ常勤役員等(経営業務の管理責任者)も必要です。こちらは常勤役員等の解説をご覧ください。
実務経験10年の場合
学歴や資格を問わず、許可を受けたい業種について10年以上の実務経験があれば、その業種の営業所技術者になれます(建設業法第7条第2号ロ)。
「実務経験」として数えられるもの
大阪府の手引きでは、実務経験を「建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験」としています。現場監督として監督に従事した経験や、土工とその見習いとして従事した経験も含まれます。一方、建設工事の雑務だけの経験は含まれません。
また、実務経験には、工事の請負契約の実績があり、その工事で技術上の職務に就いていたことが必要です(大阪府の手引き FAQ)。
2業種で申請するなら、期間は別々に
1人の営業所技術者が複数の業種を担当することはできます。ただし、実務経験で2業種の要件を満たすには、それぞれ別の期間の経験が必要です。同じ期間を2つの業種に二重に数えることはできません(大阪府の手引き)。実務経験だけで2業種なら、原則として合計20年が必要になります。
※一部の業種では、関連する業種とあわせて12年以上の実務経験があり、そのうち申請する業種の経験が8年を超える場合に認められる扱いもあります(施行規則第7条の3の表)。当てはまるかは業種ごとに確認します。
資格が必要な工事の経験には注意
電気工事や消防施設工事は、電気工事士や消防設備士などの資格がなければ直接従事できない工事があります。解体工事の経験は、建設リサイクル法の施行後は、許可または解体工事業の登録を受けて請け負ったものに限って数えられます(大阪府の手引き)。
指定学科を卒業している場合(3年・5年)
許可を受けたい業種ごとに、関係する学科(指定学科)が決まっています(建設業法施行規則第1条)。たとえば、建築学・土木工学・電気工学・機械工学などに関する学科です。どの業種にどの学科が当たるかは、大阪府の手引きの「関連学科一覧表」で確認できます。
- 大学・短期大学・高等専門学校の指定学科を卒業:卒業後3年以上の実務経験
- 高校(中等教育学校を含む)の指定学科を卒業:卒業後5年以上の実務経験
- 専修学校の専門課程の指定学科を卒業:卒業後5年以上(専門士・高度専門士なら3年以上)の実務経験
申請では、卒業証明書の原本(発行日から3か月以内)または卒業証書の写しを出します(大阪府の手引き)。卒業から年数がたっている場合は、学校で証明書を取り寄せられるかを早めに確認しておきましょう。自分の学科が一覧に当たるかどうか迷うときは、学科名が分かる書類を用意して確認します。
技術検定の第一次検定に合格している場合
施工管理技士の技術検定は、第一次検定と第二次検定に分かれています。第二次検定まで合格すると「技士」、第一次検定だけ合格すると「技士補」です。
令和5年7月1日からは、第一次検定に合格した後の実務経験でも営業所技術者になれるようになりました。
- 1級の第一次検定に合格した後、3年以上の実務経験
- 2級の第一次検定に合格した後、5年以上の実務経験
ただし、どの検定種目がどの業種に使えるかは決まっています。また、大阪府の手引きでは、土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業・電気通信工事業は、このルートの対象外とされています。
ほかにも経験年数が短くなるルートがあります
- 職業能力開発促進法の技能検定:1級は合格すれば要件を満たし、2級は合格後3年以上の実務経験で満たす業種があります(例:建築大工、左官、内装仕上げ施工など。施行規則第7条の3の表)
- 登録基幹技能者講習の修了(業種ごとに指定があります)
10年分の書類をそろえるのが難しい場合でも、こうした試験を受けることで必要な年数が短くなることがあります。
実務経験の証明のしかた(様式第9号と裏付けの書類)
実務経験証明書(様式第9号)
実務経験で申請するときは、実務経験証明書(様式第9号)を作ります。業種ごと、証明者ごとに1枚ずつ作り、経験した期間と、具体的な工事名(例:「〇〇邸 新築工事」)を書いていきます。証明者は、その期間に勤めていた会社や個人事業主です。自分が個人事業主として工事をしてきた期間なら、自分自身が証明者になります。
大阪府で求められる裏付けの書類
大阪府の手引きでは、次の書類で確認するとされています。
- 工事の実績:証明書に書いたすべての工事について、工期・工事名・工事内容・請負金額が分かる書類(工事の契約書・注文書・請求書・内訳書など)
- その会社に在籍していたこと:年金の被保険者記録照会回答票、雇用保険被保険者証(今も勤めている場合)、雇用保険被保険者離職票(辞めている場合)など。証明者と申請者が同じ場合などは原則不要
- 証明者が個人事業主の場合:その人の確定申告書の第一表と、専従者給与欄や給与支払者欄に氏名が載っている書類、証明者の印鑑証明書(3か月以内)
証明書には各年の代表的な工事を書きますが、その工事はすべて書類で確認されます。ある年の工事と翌年の工事の間が1年以上あくと、その間の工事の実績も求められます。
10年分の書類をそろえるのがいちばんの山場です
10年分の注文書や請求書を、1年以上の空白なくそろえる必要があります。以前の勤め先に証明をお願いする場合は、協力してもらえるかも含めて、早めに確認してください。
大阪府で申請するときの注意点
- 過去に実務経験で証明を受けた人:以前の許可申請書や変更届の、受付印のある表紙と実務経験証明書の写しで確認できる場合があります。副本を保管しているか確認してください
- 営業所技術者等は専任であること:通勤できないほど遠くに住んでいる、他の業者の技術者になっている、給与が大阪府の最低賃金を下回る、といった場合は専任と認められません
- 常勤性の確認書類が別に必要です(会社の役員・従業員なら健康保険被保険者標準報酬決定通知書など、個人事業主なら住民税課税証明書や確定申告書など)
- 電子申請の容量:実務経験の根拠資料が多く、ファイル容量を超える申請は、大阪府の電子申請(JCIP)では対応できないとされています。書面での申請を検討します。電子申請については大阪府の電子申請のページをご覧ください
兵庫県・和歌山県・奈良県で申請する場合は、確認書類の扱いが違うことがあるため、各県の手引きで確認します。
ARIA行政書士事務所にご相談いただく場合
ARIA行政書士事務所(大阪市都島区)では、資格をお持ちでない方の実務経験・学歴・検定合格による営業所技術者等の要件確認と、大阪府知事許可の新規申請・業種追加をお手伝いしています。
まず、保管されている注文書・請求書・契約書と確定申告書を拝見し、どの業種で何年分の経験を証明できそうかを整理します。書類が足りない期間がある場合は、ほかの工事で埋められるか、試験を受けて年数を短くする道がないかも含めてご説明します。事実と違う内容で書類を作ることはしません。
手続きの流れは新規許可のページ、業種を増やす場合は業種追加のページ、費用は料金のページをご覧ください。ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
最終確認日:2026年9月29日(法令・制度はこの日時点の内容です)
建設業許可のご相談をお受けしています
初回のご相談は無料です。「うちは許可が取れるのか」「決算変更届が何年分か出ていない」といった段階からご相談ください。
お手元の書類と状況をうかがい、必要な手続きと費用をお見積りのうえでご案内します。
