経営事項審査(経審)の令和8年7月改正で何が変わるか

令和8年7月1日から、経審の審査項目が変わりました。主な変更は、①社会保険の未加入による減点項目の削除、②「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」の加点(5点)、③CCUSの配点の見直し、④加点対象の建設機械に2機種を追加、の4つです。改正前の基準で結果を受けた場合の大阪府の再審査は、令和8年10月28日までです。

経審とは

経営事項審査(経審)は、国や地方公共団体などが発注する公共工事(政令で定めるもの)を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です(建設業法27条の23)。会社の経営の状況や規模、技術力などを点数にします。

点数は2つの審査を組み合わせて出ます。

審査誰が行うか主な中身
経営状況分析(Y)国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関負債への耐性、収益性・効率性、財務の健全性など、決算書の数字の分析
経営規模等評価(X・Z・W)許可をした行政庁(大阪府知事許可なら大阪府)完成工事高(X1)、自己資本額と利益(X2)、技術職員数と元請完成工事高(Z)、社会性など(W)

この2つから、総合評定値(P)=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W が計算されます。発注者は、この点数に独自の評価を加えて、入札参加業者の格付けなどに使います。

改正はいつの申請から適用されるか

審査の項目と基準は国土交通省の告示で定められています。今回の改正の告示は令和8年2月6日に公布され、令和8年7月1日から施行されました(令和8年国土交通省告示第262号)。国土交通省の資料では、令和8年7月1日以降の申請で適用とされています。

大阪府も、令和8年7月1日以降に経審を受ける場合は改正後の様式(「その他の審査項目(社会性等)」など)で申請し、6月30日までの申請は改正前の様式を使うよう案内しています。経審の手引きも令和8年7月改訂版に改められました。

何が変わるか(4つの変更点)

変わったのは、主に「その他の審査項目(社会性等)」、つまりWの部分です。

1. 社会保険の未加入による減点項目がなくなった

これまでWには、雇用保険・健康保険・厚生年金保険に加入していない場合に、それぞれマイナス40点とする項目(W1-1〜W1-3)がありました。今回、この3項目が審査項目から削除されました。

理由について国土交通省は、令和2年10月から社会保険の加入が建設業許可の要件になり、許可の更新が5年ごとであることから、令和7年10月1日以降に許可を持つ建設業者は社会保険の加入を満たしていることになるため、経審で改めて確認する必要が乏しい、と説明しています。

社会保険に入らなくてよくなったわけではありません

削除されたのは経審の減点項目です。社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入は、建設業許可の要件として今も必要です(適用除外の場合を除く)。加入の手続きは社会保険労務士の業務です。

2.「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言で5点

担い手の育成・確保の評価(W1)に、国土交通省の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」で宣言しているかどうかの項目が新しく加わりました。宣言していれば5点です。

  • 加点されるのは、審査基準日が宣言日以降で、宣言書と誓約書を出している場合
  • 誓約の中身は、宣言した取り組みを取組開始日以降に「行う」または「行っている」こと
  • 大阪府の手引きでは、自主宣言制度のポータルサイトに宣言企業として掲載されている必要があるとされています

審査基準日は通常、決算日です。決算日より後に宣言しても、その決算期の経審では加点されない点に注意が必要です。

3. CCUS(建設キャリアアップシステム)関係の配点の見直し

自主宣言の項目が加わったのにあわせて、「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」(CCUSで技能者の就業履歴をためる取り組み)の配点が変わりました。

対象の工事改正前改正後
民間工事を含むすべての建設工事で実施15点10点
すべての公共工事で実施10点5点

CCUSの措置で満点を取っていた会社は5点下がりますが、自主宣言の5点と合わせると、W1の上限(77点)は改正前と同じです。

4. 加点対象の建設機械に2機種が追加

建設機械の保有状況(W7)は、災害時の復旧に使われる代表的な建設機械の台数で加点する項目です(14台以上で上限の15点)。これまでのショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダー、移動式クレーン(つり上げ荷重3トン以上)、ダンプ、締固め用機械、解体用機械、高所作業車の9機種に、「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が加わりました。令和6年能登半島地震の応急復旧で使われた実績などを踏まえたものです。

※この改正で、Wの点数の下限と総合評定値(P)の下限も変わりました。国土交通省の資料では、Wの内訳の合計は改正前の「237点〜マイナス210点」から「237点〜マイナス90点」になっています。

改正前の基準で結果を受けた場合の再審査

建設業法施行規則20条2項では、経審の基準が改正された場合、改正前の方法で審査結果の通知を受けた人は、改正の日から120日以内に限り、改正に関する事項について再審査を申し立てることができるとされています。

大阪府は、すでに直前の決算日を審査基準日とする経審を受けた場合でも、今回の改正に伴う内容について再審査の申請ができると案内しています。大阪府の別紙によると、受付期間は令和8年7月1日から令和8年10月28日までで、この期間の再審査は手数料がかかりません(窓口は咲洲庁舎1階の申請会場、事前相談・連絡が必要)。たとえば社会保険の減点がなくなる、宣言済みで自主宣言の加点が見込めるといった場合は、再審査で点数が変わる可能性があります。期間が限られているので、該当しそうなら早めに大阪府の案内を確認してください。

大阪府での経審の流れと日数

大阪府知事許可の業者が経審を受けるまでの流れは、次のとおりです。3〜5は書面で申請する場合で、電子申請(JCIP)で申請する場合は、予約や会場への持参ではなくシステム上で手続きします。

順番やることポイント
1決算変更届を大阪府へ出す事業年度終了後4か月以内。経審を受けるなら消費税抜きの金額で作ります(免税事業者だった期間は原則税込み)
2経営状況分析を申請する登録経営状況分析機関へ直接申請し、結果通知書(原本)を受け取ります
3経審の受審日を予約する申請会場の予約簿への記入かFAXで予約します。電話では予約できません
4予約日に経審を申請する経営規模等評価の申請と総合評定値の請求を同時に行い、経営状況分析の結果通知書(原本)を添えます
5結果通知書を受け取る申請を受理し、補正が済んだ日から土日祝を含む22日程度で発送(年末年始・大型連休は除く)

大阪府は、例年9月以降は受審希望が多く予約が取りにくくなるため、決算期が12月〜3月の業者はできるだけ8月までに受けるよう呼びかけています。また、申請日の直前の審査基準日より古い審査基準日での受審はできません。経審は令和7年6月から電子申請(JCIP)でも申請できるようになっています(GビズIDプライムが必要)。

※経審で点数が出た後、実際に入札に参加するには、発注者ごとの入札参加資格の審査を別に受けます。

経審の有効期間は1年7か月

大阪府の手引きでは、公共工事について発注者と請負契約を結べるのは、結果通知書を受け取った後、その経審の審査基準日から1年7か月までとされています。審査基準日は通常、直前の決算日です。

決算日から1年7か月なので、次の決算の経審を毎年きちんと受けていれば、結果が途切れずにつながります。反対に、決算変更届や経審の申請が遅れると、前の結果の期限が切れてから新しい結果が届くまで、公共工事の契約ができない期間が生まれることがあります。決算が確定したら、すぐに1〜5の手順に進むのが基本です。

※兵庫県・和歌山県・奈良県の許可業者は、それぞれの県の経審の手引きで手続きを確認します。国土交通大臣許可の業者は、近畿地方整備局の案内によります。

ARIA行政書士事務所にご相談いただく場合

当事務所では、決算変更届から経営状況分析の申請、経審の予約・申請書類の作成まで、流れに沿ってお手伝いします。今回の改正で使う書類が変わった「その他の審査項目(社会性等)」や、自主宣言の誓約書、建設機械の保有状況の資料もあわせて確認します。改正前の基準で結果を受けた方には、再審査で点数が変わるかどうかの確認もいたします。税務申告や税務相談は税理士の業務なので、確定した決算書をもとに進めます。

経審と入札参加資格については経審・入札参加資格のページ、許可後の期限全体は建設業許可をとった後の期限一覧、電子申請は電子申請のページをご覧ください。ご相談はお問い合わせから、費用は料金のページでご確認いただけます。

行政書士 川端祐也

この記事を書いた人:行政書士 川端 祐也
ARIA行政書士事務所 代表。大阪府行政書士会所属(登録番号 第23262007号)。司法書士・宅地建物取引士の資格も持っています(登記などの司法書士業務は、別の法人である司法書士法人ARIAグループが別の契約で取り扱います)。

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