法人成り・事業承継・相続での建設業許可の承継

個人事業を会社にする、会社を合併する、事業主が亡くなった――こうしたときも、期限までに認可を受ければ、建設業許可を途切れさせずに引き継げます。大阪府知事許可の場合の段取りをまとめました。

「認可」を受ければ、許可を引き継げます

令和2年10月1日に施行された改正建設業法で、事業の承継と相続の制度ができました(建設業法第17条の2・第17条の3)。それまでは、事業譲渡や合併をすると、古い許可を廃業して新しく許可を取り直す必要がありました。その間は、1件500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負えない「空白期間」ができていました。

今は、事業譲渡・合併・分割なら効力が生じる日より前に、相続なら亡くなってから30日以内に申請して認可を受けることで、空白期間を作らずに許可を引き継げます。

認可の種類と申請の期限(大阪府)

場面内容申請の期限
事業譲渡(法人成りを含む)個人→法人、法人→法人などで、許可を受けた建設業の全部を譲る効力が生じる日(承継予定日)より前。大阪府の案内では、承継予定日の1か月前(手引きでは30日前)までに申請が必要で、45日前までの受付を勧めています
合併許可を持つ会社が合併で消滅し、存続会社・新設会社が引き継ぐ
分割会社分割で、建設業の全部を別の会社に引き継ぐ
相続許可を持つ個人事業主が亡くなり、相続人が建設業の全部を続ける亡くなった日から30日以内

※大阪府では、認可申請の受付は予約制で、1日2件までとされています。事前相談は、遅くとも効力が生じる日の2か月前を目途に、と案内されています。

認可の主な条件

  • 建設業の全部を引き継ぐこと:一部の業種だけを引き継ぐことはできません。引き継がない業種は、認可申請の前に一部廃業の届出をします。
  • 一般・特定の区分がぶつからないこと:同じ業種で、一方が一般、もう一方が特定の許可を持っている場合は、そのままでは承継できません。
  • 引き継ぐ側が許可の要件を満たすこと:常勤役員等・営業所技術者等・財産的基礎・社会保険など、許可の要件を承継予定日の時点で満たしている必要があります。
  • 常勤の人は承継日まで元の事業者にいること:常勤役員等や営業所技術者等は、承継予定日までは引き継がれる側で常勤であることが必要です。
  • 相続は、相続人全員の同意があること:相続人が複数いる場合は、全員の同意で建設業を引き継ぐ人を決めます。戸籍謄本や法定相続情報一覧図、遺産分割協議書・同意書(相続人全員分)または遺言書などで確認されます。

大阪府知事が認可するのは、関係する事業者がすべて大阪府知事許可で、営業所が大阪府内だけにある場合です。1人でも他の都道府県の許可や大臣許可の事業者がいれば、国土交通大臣の認可(地方整備局への申請)になります。

認可を受けないと、許可はどうなるか

許可は自動では引き継がれません

認可の制度を使わない場合、許可は引き継がれません。大阪府の手引きのFAQでも、法人成りしたときは、会社として新しく許可を取り、個人の許可は廃業届を出すよう案内されています。

相続で30日以内に認可の申請をしなかった場合、相続人は30日以内に廃業の届出をしなければなりません(建設業法第12条)。合併で、会社が消滅するまでに認可がなかった場合は、その会社の役員だった人が30日以内に届け出ます。事業を続けるには新しく許可を取る必要があり、許可が出るまでは軽微な工事(1件500万円未満など)しか請け負えません。承継が起きた後に、さかのぼって認可を受けることもできません。

空白期間を作らないための段取り

早めに相談する(2か月前が目安)

承継の方法(事業譲渡・合併・分割)と承継予定日を決め、引き継ぐ側が要件を満たすかを確かめます。大阪府への事前相談は電話で予約します。

契約・決議を整える

事業譲渡契約書、合併契約書、分割契約書と、株主総会の議事録などを用意します。認可では契約が有効に成り立っているかが確認されます。

認可申請(45日前までを目安に)

申請書と、新規申請と同じ程度の添付書類を出します。大阪府の標準処理期間は、受付から認可まで土日祝を含めて30日です。認可申請に手数料はかかりません。

承継予定日

認可を受けていれば、この日に建設業者としての地位が引き継がれます。

承継後の書類を期限内に出す

承継日以降の常勤性や社会保険の確認書類など、後から出す書類があります(例:社会保険関係は承継日から2週間以内)。期限内に出せないと、認可の取消しの対象になります。

認可のあとの許可の有効期間は、事業承継等なら効力が生じた日の翌日から5年、相続なら認可を受けた日の翌日から5年です。相続で認可を申請している間は、亡くなった日から処分の日まで、相続人が許可を受けたものとして扱われます。

法人成りの場合

個人事業主が会社を作って事業を移す法人成りは、「事業譲渡(個人→法人)」の認可を使います。事業譲渡の契約は個人事業主と新しい会社との間で結ぶため、会社の設立登記を先に済ませる段取りになります。会社の常勤役員等・営業所技術者等・財産的基礎・社会保険が、承継予定日にそろっている必要があります。

決算期や経営事項審査を受けている場合の扱いも、あわせて確認します。大阪府の手引きは、経審を受ける予定があれば、認可申請とあわせて事前に相談するよう求めています。

相続の場合

相続の認可は、亡くなってから30日以内という短い期限です。この間に、戸籍の収集、相続人全員の同意、引き継ぐ人が要件を満たすかの確認を進める必要があります。相続人の間で意見が分かれている場合は、弁護士へのご相談が必要になることがあります。

登記・税務・社会保険は、それぞれの専門家へ

行政書士が扱うのは、建設業の認可申請です

  • 会社設立・合併・分割の登記、相続した不動産の名義変更:司法書士
  • 事業譲渡や相続にともなう税務申告・税務相談:税理士
  • 新しい会社の社会保険・労働保険の加入手続き:社会保険労務士
  • 相続人の間などの争いの交渉:弁護士

ARIAグループには司法書士法人ARIAグループがありますが、ARIA行政書士事務所とは別の事務所で、ご依頼は別の契約・別の費用です。司法書士や税理士などの専門家は、自由にお選びいただけます。

ARIA行政書士事務所がお手伝いすること

  • 承継の方法と承継予定日から、認可申請の期限と段取りを逆算します
  • 引き継ぐ側が許可の要件を満たすかを確かめ、足りない点を洗い出します
  • 大阪府への事前相談の準備、認可申請書と添付書類の作成、承継後の書類提出を進めます

兵庫県・和歌山県・奈良県の知事許可の場合は、各県の手引きで確認してご案内します。なお、認可申請は大阪府の電子申請(JCIP)の対象外です。

よくあるご質問

法人成りした後から、認可を申請できますか。

できません。事業譲渡の認可は「あらかじめ」受ける必要があり、承継が起きた後にさかのぼって認可を受けることはできません。すでに会社に事業を移している場合は、会社として新規の許可申請を検討します。

許可番号や有効期間はどうなりますか。

許可を持たない会社が引き継ぐ場合は、元の許可番号が引き継がれます。許可を持つ事業者同士の場合は、どちらかの番号を選べます。有効期間は、承継の日(相続は認可の日)の翌日から5年になります。

一部の業種だけを会社に移したいのですが。

認可では建設業の全部を引き継ぐ必要があります。移さない業種は、認可申請の前に一部廃業の届出をします。

建設業許可のご相談をお受けしています

初回のご相談は無料です。「うちは許可が取れるのか」「決算変更届が何年分か出ていない」といった段階からご相談ください。
お手元の書類と状況をうかがい、必要な手続きと費用をお見積りのうえでご案内します。

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