「500万円未満の工事しかしないから手続きは何も要らない」とは限りません。解体工事と電気工事には、建設業許可とは別の法律で、金額に関係なく必要な登録があります。
3つの制度は根拠の法律が違う
まず全体像です。建設業許可、解体工事業登録、電気工事業の登録は、それぞれ別の法律にもとづく別の手続きで、窓口も違います。
| 建設業許可 | 解体工事業登録 | 電気工事業の登録 | |
|---|---|---|---|
| 法律 | 建設業法 | 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法) | 電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法) |
| いつ要るか | 1件の請負代金が500万円以上の工事を請け負うとき。建築一式工事は1,500万円以上(延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事を除く)。いずれも税込 | 解体工事業を営むとき。金額に関係なく、元請・下請を問わない | 電気工事業を営むとき。金額に関係なく必要 |
| 単位 | 営業所がある都道府県(2つ以上なら国土交通大臣) | 解体工事を行う区域の都道府県ごと | 営業所がある都道府県(2つ以上なら経済産業大臣。実際の窓口は産業保安監督部) |
| 有効期間 | 5年 | 5年 | 登録電気工事業者は5年(通知電気工事業者・みなし登録・みなし通知には独自の有効期間はない) |
| 大阪府の窓口 | 建築振興課(咲洲庁舎) | 建築振興課(咲洲庁舎) | 危機管理室消防保安課(受付は委託先の窓口) |
ポイントは、建設業許可は金額で線が引かれ、解体・電気の登録は金額で線が引かれないことです。500万円未満の解体工事や電気工事だけを請け負う場合でも、登録(電気は登録か届出)が必要になります。
解体工事業登録が要るとき
建設リサイクル法では、建築物などを取り壊す解体工事を請け負う営業(請け負った解体工事を下請に出す場合も含む)を「解体工事業」といいます。解体工事業を営もうとする人は、その業を行う区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません(建設リサイクル法21条1項)。
大阪府の手引きでは、次の点が示されています。
- 元請・下請を問わず、請負金額の大小にかかわらず登録が必要
- 営業所が大阪府外にあっても、大阪府内で解体工事を行うなら大阪府知事の登録が必要
- 工事現場で解体工事の技術上の管理をする「技術管理者」を選任する必要がある(資格や実務経験の要件あり)
- 登録手数料は新規33,000円、更新26,000円。登録通知は申請の受理・補正の解消から土日祝を含む4週間程度で発送
- 更新は有効期間満了の30日前までに(満了日の3か月前から受付)
- 商号・所在地・役員・技術管理者などの変更は30日以内に届出
- 営業所と解体工事の現場ごとに標識を掲げ、営業所ごとに帳簿を備える
そして、請負金額が500万円以上の解体工事(解体工事を含む建設工事で、建築一式工事にあたるものは1,500万円以上)を行うには、建設業法の許可が必要です。
技術管理者と建設業許可の人の兼務に注意
大阪府の手引きでは、建設業許可を持つ業者に勤める技術管理者は、常勤が求められる常勤役員等(経営業務の管理責任者)や営業所技術者等と兼ねることはできないとされています。
建設業許可を持っていれば解体工事業登録は要らないか
建設業許可のうち、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの許可を受けている人は、解体工事業登録が要りません(建設リサイクル法21条1項かっこ書き)。この3業種以外の許可では、登録は不要になりません。
| 持っている建設業許可 | 解体工事業登録 | 大阪府への手続き |
|---|---|---|
| 土木工事業・建築工事業・解体工事業のどれか | 不要 | 登録を受けていた人がこれらの許可を受けると、登録は効力を失います(同法21条5項)。大阪府は許可後30日以内に「建設業許可取得通知書」(抹消の通知)を出すよう求めています |
| それ以外の26業種だけ(大工、管、電気など) | 引き続き必要 | 大阪府への通知は不要。ただし解体工事業の技術管理者と建設業の技術者などの重複はできません |
一式工事の許可で解体工事だけを請け負えるわけではありません
土木工事業や建築工事業(一式工事)の許可があれば解体工事業登録は不要になりますが、大阪府の手引きでは、一式工事の許可があっても専門工事だけを請け負う場合は、その専門工事の許可が必要とされています。500万円以上の解体工事だけを請け負うなら、解体工事業の許可を検討します。なお、とび・土工工事業の許可で解体工事を請け負えた経過措置は、令和元年5月31日で終わっています。
電気工事業の登録と「みなし登録」
電気工事業法では、他人から依頼を受けて反復・継続して電気工事を行うことを電気工事業といい、有償か無償かを問いません。電気工事業を営むには、建設業許可の有無と、扱う電気工作物の種類によって、次のどれかの手続きが必要です。
| 区分 | 建設業許可 | 扱う電気工事 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | なし | 一般用電気工作物等(住宅や小さな店舗など)を含む | 登録(有効期間5年・更新あり) |
| みなし登録電気工事業者 | あり | 一般用電気工作物等を含む | 電気工事業を始めたら、遅滞なく「電気工事業開始届」 |
| 通知電気工事業者 | なし | 自家用電気工作物(ビル・工場など)だけ | 事業を始める日の10日前までに通知 |
| みなし通知電気工事業者 | あり | 自家用電気工作物だけ | 始めたら遅滞なく通知 |
建設業許可があると何が要らなくなるか
建設業法の許可を受けた建設業者には、電気工事業法の登録の規定が適用されません(電気工事業法34条1項)。その代わり、登録電気工事業者と「みなされて」同法の他の規定が適用され、電気工事業を始めたときは遅滞なく届け出る必要があります(同条2項・4項)。
ここでいう建設業者は、電気工事業の許可を持つ業者に限りません。内装や管工事など、ほかの業種の許可だけを持っている業者でも、電気工事業を営むならみなし登録の届出の対象になります。大阪府の案内では、みなし登録の開始届・変更届に手数料はかかりません(証明書の発行は1通500円)。
それでも残る義務
- 一般用電気工事を行う営業所ごとに主任電気工事士を置く(第一種電気工事士、または第二種電気工事士の免状を受けた後3年以上の実務経験がある人)。欠けたら2週間以内に選任
- 電気工事士などの資格がない人を電気工事の作業に従事させない
- 営業所ごとに測定器具を備え、営業所と施工場所に標識を掲げ、帳簿を備えて5年間保存する
- 届け出た事項が変わったら変更届(大阪府の手引きでは変更のあった日から30日以内)。建設業許可を更新したときも変更届を出す
登録電気工事業者が建設業許可を受けたとき
登録電気工事業者が建設業者になると、その登録は効力を失います(電気工事業法34条6項)。大阪府の手引きでは、登録電気工事業者の廃止届とあわせて、みなし登録の電気工事業開始届を遅滞なく出すよう案内しています。反対に、建設業許可が有効期限切れになると、みなし登録電気工事業者ではなくなり、そのままでは電気工事業を続けられません。
なお、500万円以上の電気工事を請け負うには、電気工事業法の手続きとは別に、建設業法の電気工事業の許可が必要です。
※大阪府の電気工事業の登録・届出の受付窓口は、令和8年10月1日から大阪府電気工事工業組合 本部(大阪市北区本庄東、大阪府電気工事技術会館3階)です(大阪府「電気に関する申請」2026年9月25日更新で確認)。受付時間などの最新の案内は大阪府のページで確認してください。
ケース別の早見表
| こんな事業者 | 必要な手続き(大阪府内で営業する場合) |
|---|---|
| 500万円未満の解体工事だけを請け負う、建設業許可なし | 大阪府知事の解体工事業登録 |
| 500万円以上の解体工事を単独で請け負う | 原則として建設業許可(解体工事業)。許可を受ければ解体工事業登録は不要。建築一式工事などの一部として解体を含む場合は、工事全体の内容と許可業種で判断します |
| 内装仕上工事業の許可あり、ときどき小規模な解体も請け負う | 内装の許可では解体工事業登録は不要にならないので、登録が必要 |
| 500万円未満の電気工事だけ、建設業許可なし | 登録電気工事業者の登録(自家用電気工作物だけなら通知) |
| 電気工事業の許可あり | 電気工事業法の登録は不要。みなし登録の電気工事業開始届を出す |
| 管工事業の許可あり、電気工事も自社で行う | みなし登録の電気工事業開始届。500万円以上の電気工事を請け負うなら電気工事業の許可も必要 |
※大阪府外(兵庫県・和歌山県・奈良県など)で解体工事を行う場合は、その府県ごとに解体工事業登録が必要です。各県の案内で手続きを確認します。家庭用エアコンの工事は、作業によって資格などの要否が変わると大阪府の手引きにあります。
ARIA行政書士事務所にご相談いただく場合
当事務所では、どんな工事を、どの地域で、いくらくらいの規模で請け負っているかをうかがい、建設業許可が必要か、解体工事業登録や電気工事業の登録・届出が必要かを整理します。建設業許可の申請にあわせて、許可を受けた後に出すべき抹消の通知やみなし登録の開始届の漏れがないかも確認します。電気工事士の免状や実務経験、技術管理者の要件の確認もご相談ください。
建設業許可の全体は建設業許可のページ、金額の考え方は500万円の基準の解説、業種を増やす手続きは業種追加のページ、その他の手続きは関連する許認可をご覧ください。ご相談はお問い合わせから、費用は料金のページでご確認いただけます。
建設業許可のご相談をお受けしています
初回のご相談は無料です。「うちは許可が取れるのか」「決算変更届が何年分か出ていない」といった段階からご相談ください。
お手元の書類と状況をうかがい、必要な手続きと費用をお見積りのうえでご案内します。
