営業所技術者(旧:専任技術者)とは|令和6年12月の改正と兼務の条件

建設業許可の要件の一つだった「専任技術者」(旧称)は、令和6年12月13日から「営業所技術者等」(一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者)に名前が変わりました。名前だけでなく、工事現場の技術者を兼ねられる条件も整理されています。

何が変わったのか

令和6年6月に公布された改正建設業法のうち、技術者の専任の合理化などに関する規定が、令和6年12月13日に施行されました。建設業許可に関係する変更は、大きく2つです。

1. 呼び名の変更

許可の区分改正前の呼び名改正後の呼び名
一般建設業営業所の専任技術者(旧称)営業所技術者(建設業法第7条第2号)
特定建設業営業所の専任技術者(旧称)特定営業所技術者(同法第15条第2号)

2つをまとめて「営業所技術者等」と呼びます。大阪府の手引きもこの呼び方に変わっています。役割や、なるための資格・経験の基準は、名前が変わったことで変わってはいません。

2. 現場の技術者との兼務の仕組み

営業所技術者等は、営業所に常勤して専らその職務に就くのが原則です。改正で、一定の条件を満たせば、専任が必要な工事現場の主任技術者・監理技術者を兼ねられる規定が新しくできました(建設業法第26条の5)。詳しくは後半で説明します。

営業所技術者等の役割と、なれる人

営業所技術者等は、営業所ごとに専任で置く技術者で、建設工事の請負契約の締結と履行の業務について、技術上の管理を行う人です(建設業法第7条第2号)。見積もりや契約の内容が技術的に適切かどうかを、営業所で見る役割といえます。

一般建設業の営業所技術者になれるのは、許可を受けたい業種について、次のいずれかに当たる人です。

  • 国家資格など(1級・2級の施工管理技士、建築士、技能士など。業種ごとに決まっています)
  • 指定学科を卒業した後の実務経験(大学・高等専門学校は3年以上、高校は5年以上)
  • 実務経験10年以上
  • 技術検定の第一次検定に合格した後の実務経験(1級は3年以上、2級は5年以上。対象外の業種があります)

特定建設業の特定営業所技術者は、これより要件が重く、1級の国家資格などか、一般の要件に加えて一定の指導監督的な実務経験が必要です。土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)では、原則として1級の国家資格などが必要です(同法第15条第2号、施行令第5条の2)。

資格がない場合の道筋は資格がなくても建設業許可は取れるかで詳しく説明しています。

「専任」の意味

「専任」とは、その営業所に常勤して、専らその職務に従事することです。大阪府の手引きでは、通勤できないほど遠くに住んでいる人、他の業者の営業所技術者等、他に個人営業をしている人、給与が大阪府の最低賃金を下回る人などは、原則として専任とは認めないとしています。

主任技術者・監理技術者との違い

名前が似ているので混同されやすいのですが、営業所技術者等は「営業所」の技術者、主任技術者・監理技術者は「工事現場」の技術者です。

置く場所置く場面役割
営業所技術者等営業所許可を受けるための要件。営業所ごとに専任で置く請負契約の締結・履行の業務の技術上の管理
主任技術者工事現場許可を受けた業者が工事を施工するとき、金額にかかわらず置く(第26条第1項)施工計画の作成、工程管理、品質管理、作業する人への技術上の指導監督(第26条の4)
監理技術者工事現場元請の特定建設業者が、下請契約の合計5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)で工事を施工するとき、主任技術者に代えて置く(第26条第2項)主任技術者と同じ職務(第26条の4)。資格の要件は特定営業所技術者と同じ水準(第26条第2項)

主任技術者・監理技術者は、一定の重要な工事で請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)になると、その現場に専任で置く必要があります(建設業法第26条第3項、施行令第27条)。国や地方公共団体の工事のほか、共同住宅、事務所、病院、工場などの民間工事も対象に含まれます。

※この金額は令和7年2月1日に引き上げられたものです。それより前は4,000万円(建築一式工事は8,000万円)でした。

営業所技術者等が現場の技術者を兼ねられる条件

小さな会社では、営業所技術者等が現場にも出ざるをえないことがよくあります。兼務できるかどうかは、その工事が「専任が必要な工事」かどうかで分かれます。

専任が必要でない工事の場合(従来からの扱い)

営業所に近く、専任が必要でない工事現場の主任技術者等を兼ねることは、改正後も引き続き認められています(国土交通省の資料)。大阪府の手引きでは、次のすべてを満たす場合としています。

  • その営業所で請負契約を結んだ工事であること
  • 工事現場と営業所が近く、営業所と常時連絡をとれる体制にあること
  • 会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
  • その工事の専任を要しない主任技術者・監理技術者であること

営業所から近くない、専任が必要でない現場を兼ねる場合は、次に説明する要件をすべて満たせば可能とされています(国土交通省の資料)。

専任が必要な工事の場合(令和6年12月13日からの新しい特例)

次の要件をすべて満たすと、営業所技術者等が、専任が必要な工事現場の主任技術者(特定営業所技術者は監理技術者も)の職務を兼ねることができます(建設業法第26条の5、施行令第33条・第34条、施行規則第17条の5・第17条の6)。

要件内容
契約した営業所その営業所技術者等がいる営業所で請負契約を結んだ工事であること
請負代金1億円未満(建築一式工事は2億円未満)
兼ねられる現場の数1つ
営業所と現場の距離1日の勤務時間内に巡回でき、災害や事故のときの移動時間がおおむね2時間以内
下請の次数3次の下請まで
連絡員営業所技術者等との連絡などを行う人を、その工事ごとに置く(土木一式・建築一式工事は、その工事の種類について実務経験1年以上の人)
雇用関係兼務する営業所技術者等が、会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
施工体制の確認現場の施工体制を、情報通信技術で確認できる措置をとる(国土交通省の資料では、現場作業員の入退場を遠隔で確認できるシステム)
人員配置の計画書技術者の氏名、所属営業所、契約した営業所、労働時間の見込みと実績などを書いた計画書を作り、現場に備え置き、営業所で保存する
現場確認の機器営業所から現場の状況を映像と音声で確認できる機器と通信環境があること(スマートフォンやWeb会議システムでも差し支えないとされています)

特定営業所技術者が監理技術者の職務を兼ねる場合は、監理技術者資格者証の交付を受け、登録講習を受講していることも必要です(建設業法第26条の5第3項)。

兼務するときの注意点

  • 現場は1つだけです。現場の技術者どうしの兼任(専任特例)は2現場まで認められていますが、営業所技術者等の兼務は1現場です
  • 営業所技術者等が専任現場の職務を兼ねる場合に、現場の技術者の兼任の特例(第26条第3項ただし書)をあわせて使うことはできません(国土交通省の資料)
  • 現場の技術者の専任特例では、工事の途中で請負代金が1億円(建築一式工事は2億円)以上になったり、下請が3次を超えたりすると、それ以降は特例を使えないとされています(国土交通省の資料)。兼務の要件は基本的にこれと同じとされているので、追加工事や下請の追加には注意が必要です
  • 営業所技術者等は、兼務している間も営業所の職務から外れるわけではありません。要件を満たさなくなった場合に代わりの人がいないと、許可の要件を欠くことになります
  • 営業所技術者等が交代するときは、14日以内に変更の届出が必要です。代わりの人がいなくて1日でも空白ができると、許可は失効します(大阪府の手引き)。届出は変更届のページをご覧ください

大阪府の申請書類での扱い

大阪府では、令和6年12月13日に申請・届出の様式の一部が改定されました。技術者の証明書は「営業所技術者等証明書(新規・変更)」(省令様式第8号)です。実務経験で要件を満たす場合は、実務経験証明書(様式第9号)を付けます。

営業所技術者等は、同じ営業所の常勤役員等(経営業務の管理責任者)を兼ねることができます。一方で、建築士事務所を管理する建築士や、宅地建物取引業の専任の宅地建物取引士などを兼ねている人は、同じ会社の同じ営業所である場合を除き、専任とは認められません(大阪府の手引き)。

※大阪府の手引き(令和8年3月改訂版)の一部の注記には、専任が必要な工事の金額として改正前の4,000万円(建築一式工事は8,000万円)が残っています。この記事の金額は、e-Gov法令検索で確認した現行の建設業法施行令第27条によっています。

ARIA行政書士事務所にご相談いただく場合

ARIA行政書士事務所(大阪市都島区)では、営業所技術者等の要件確認と、それにもとづく大阪府知事許可の新規申請・業種追加、技術者が交代したときの変更届をお手伝いしています。

「この人の資格・経験で、どの業種の営業所技術者等になれるか」「実務経験を証明する書類がそろうか」を、資格証や工事の注文書・契約書を拝見しながら確認します。現場との兼務が要件に合うかどうかの運用面は、工事の内容によって判断が変わるため、必要に応じて大阪府や国土交通省の窓口への確認をご案内します。

業種を増やす手続きは業種追加のページ、費用は料金のページをご覧ください。ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

行政書士 川端祐也

この記事を書いた人:行政書士 川端 祐也
ARIA行政書士事務所 代表。大阪府行政書士会所属(登録番号 第23262007号)。司法書士・宅地建物取引士の資格も持っています(登記などの司法書士業務は、別の法人である司法書士法人ARIAグループが別の契約で取り扱います)。

建設業許可のご相談をお受けしています

初回のご相談は無料です。「うちは許可が取れるのか」「決算変更届が何年分か出ていない」といった段階からご相談ください。
お手元の書類と状況をうかがい、必要な手続きと費用をお見積りのうえでご案内します。

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